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聖書における塩(後編)

今度は新約聖書の中の「ルカの福音書14章。いわゆる「塩けのない塩」のお話しです。
イエスは、神を信じているといいながらも半信半疑な群集に対してこのように話します。

  「塩は良いものですが、もしその塩けをなくしたら、
  何によってそれに味をつけるのでしょうか。
  土地にも肥やしにも役立たず、外に投げ捨てられてしまいます。
  聞く耳のある者は聞きなさい。」

ここでの塩は完全に調味料として登場しますが、オイラにはこのお話、よく解りません。
聖書にはたくさん塩のエピソードがある中で、主なものをご紹介させていただきました。

聖書における塩(中編)

旧約聖書のモーセ五書に祭司や民のための律法や規定を定めた「レビ記」があります。
後年、キリスト教では、ユダヤ教の儀式に代わる典礼とすべく新たな解釈を加えました。

古代ユダヤ教では、ご存知「十戒」で神が語ったことを具体化したものとみなしており、
「ラビ(祭司)の教え」として、ユダヤ教の聖典であるタルムードの祖にもなっています。

そのレビ記2章13節に「神の塩」「塩の契約」の由来といわれる細則が示されています。

  「あなたの穀物のささげ物にはすべて、塩で味をつけなければならない。
  あなたの穀物のささげ物にあなたの神の契約の塩を欠かしてはならない。
  あなたのささげ物には、いつでも塩を添えてささげなければならない。」

祭壇には、穀物の捧げ物とともに動物の生け贄が供えられたことを考え合わせると、
塩の腐敗を抑制する効果を活かし、祭司が食事に不自由しないようにしたのでしょう。

また、同じ旧約聖書のモーセ五書の「民数記」18章19節に次のように記されています。

  「イスラエル人が主に供える聖なる奉納物をみな、わたしは、
  あなたとあなたの息子たちと、あなたとともにいるあなたの娘たちに与えて、
  永遠の分け前とする。
  それは、主の前にあって、
  あなたとあなたの子孫に対する永遠の塩の契約となる。」

この「永遠の塩の契約」が、神への信仰の拠りどころで、塩はそのシンボルでもあり、
古代ユダヤ教では同じ塩入れを使って食事をとることは信頼と友情の証しだったとか。

ただ清めるもの清浄なものでなく神の赦しと救いを保証した通行手形とも言えますね。

参考: レビ記(口語訳) ユダヤ教講座 契約の塩 

聖書における塩(前編)

新約聖書の4福音書に書かれた2つの系図、ヨセフの家系を示すマタイ1章1節と、
処女降誕と距離を置いてマリアの家系を示すルカ3章23-38節を比較しました。

どちらも、イエスは古代イスラエルのダビデ王の正統な子孫でメシアの資格があり、
キリストはダビデの28代、ダビデはアブラハムの14代にあたると書かれています。

さらに代を遡ると、アブラハムはノアの12代、ノアはアダムの10代にあたります。
余談になりますが、アブラハムはイスラム教での「啓典の民」の始祖でもあります。

アブラハムは、神の啓示に従って妻サライ・甥ロトと約束の地カナン(パレスチナ)
へ旅立ち、エジプトを経て、アブラハムはカナン、ロトがヨルダン低地に住みます。

旧約聖書冒頭の創世記によれば、その頃には商業都市ソドムとゴモラが繁栄し、
第19章には神が天から硫黄と火を降らせて2つの都市を滅ぼすくだりがあります。

これが聖書における塩の登場であり、最古の時代の記述ということになります。

「しかしロトの妻はうしろを顧みたので塩の柱になった。」(創世記 第19章 26節)

参考: 創世記(口語訳)

チェシャ猫とチーズ

ご存知のとおりチェシャ猫とは、ルイス・キャロル作の「不思議の国のアリス」に
登場する、ニヤニヤ笑いを残したまま姿を消すという特技をもった猫のことです。

名前の由来は、イギリスの慣用句「チェシャーの猫の様にニヤニヤ笑う」ですが、
ルイス・キャロルの出身地でもある英チェシャー地方の猫はなぜ笑っているのか?

諸説ある中でポピュラーとされているのは、チェシャー地方は酪農がさかんで、
ミルクやチーズやクリーム、そしてそれを狙うネズミたちがいるからだそうです。

また、昔はチーズを固める型として、円形の端を直線で切った形の木枠を使い、
その形が「ニャオン」と開けた猫の口の形に似ているからだという説もあります。

チェシャーチーズは、チェダーチーズ・ダブルグロスターチーズとならび有名で、
イギリスでは最も古く、 ローマ帝国時代の本にもその名前が出てくるそうです。

さて、チーズを作る時に欠かせないのは何でしょうか?そのとおりです。塩です。
雑菌を殺し乳酸の発生を防ぐ役割のほかに、水分を取り風味を整えてくれます。

特に、欧米で普通に売られているヨウ素を添加した食塩や精製塩は不向きで、
良質でミネラル豊富な天然塩が、良いチーズを作るために欠かせないのです。

幸いなことにチェシャー地方には沼地が蒸発してできた岩塩の深い鉱山があり、
19世紀には近くのリバプール港からヨーロッパじゅうに輸出していたそうです。

よい塩あっての良いチーズが猫を笑わせる。なんとも不思議な話ではあります。

ポエニ戦争(紀元前264年~同146年)

共和政ローマとカルタゴが地中海の覇権を争い、シチリア島での戦闘に始まり、
ハンニバルの象のアルプス越えやアルキメデスの円周率で有名な激戦を経て、
ついにカルタゴが包囲されて滅亡するまでの、百年にも及ぶ戦争のことです。

戦争の原因と塩とは関係ありませんが、残ったカルタゴ人は奴隷に売られ、
町は焼かれ農地は塩で埋め尽くされ、不毛の地にされるところだったそうです。

そんな大量の塩をどこから持ってきたんだろう、などと考えてはダメですね。。