金魚と殺菌効果

子供のころ、飼っていた金魚のウロコにカビのようなものが生えて弱ってしまい、
誰かに飼育水に微量の食塩を入れることを教わって元気にした経験があります。

当時は塩の殺菌力だと思いましたが、後になってもう一つの理由が解りました。
淡水魚は体内と飼育水の水分のバランスを保つために体力を消耗するのです。

皮膚炎で粘液の働きが低下し、水が浸入して体内の浸透圧が下がらないよう、
粘液を過剰に出し、エラや尿で浸透圧を調節して体の浸透圧を守ろうとします。

飼育水の濃度が魚の体液と同じなら、浸透圧調節に必要な体力が不要になり、
皮膚炎から快復するために体力を集中できる、というのがもう一つの理由です。

じつは塩の殺菌効果の原理も、この浸透圧の調整が大きな役割を果たします。
魚に比べて病原菌の細胞は構造が単純なので、水分を失う率が高くなります。

そのため魚の細胞がダメージを受ける前に病原菌だけを殺すことができます。
ただ、浸透圧調節を忘れないうちに淡水に戻し、自然順育するのも大切です。